食材との出逢いがすべて
「地元で育てられた食材こそがインスピレーションの源であり、彼の料理になくてはならないもの」とぺティット氏は言う。だからこそエグゼクティブ・シェフとなった今も、毎週水曜と土曜にファーマーズ・マーケットに通う習慣は変わらない。ぶらぶら歩き、季節を感じるだけで十分。ベストな食材を見つけただけで料理は大成功なのだ。
もうひとつ欠かせないのが日本料理の趣向。特に刺身との出会いは彼のスタイルを大きく前進させた。「初めて生魚を食べた時、その風味、舌触り、豊かな味わいに驚いたんだ。海の味そのものだったよ」。それからというもの、刺身が彼のメニューの定番のひとつになった。
代表作トロの刺身はとてもバランスの取れた逸品。50年もののシェリービネガーの優しい甘さと、シソや木の芽の香りで、リッチなトロが上品なアペタイザーになる。オレンジと黄色のニンジンはかわいい水玉模様を作る。こんがり香ばしく焼けたハリバットは、なんと茶そばの上に。昆布だしもレモンの酸味を加えたことでユニークなフレンチソースのよう。
所狭しと店内に飾られたアート作品。メインダイニングの奥には緑いっぱいのテラスと中庭がある。流れる水の音を聞きながら、日の長い夏はこんな穏やかな場所でとびきりのディナーを楽しみたいものだ。
|