シェフと女主人の二人三脚
亡くなったご主人の形見として、妻であるモーリーン・ヴィンセンティ氏がこのレストランをオープンした。以来10年間、故人のよき友人であったニコラ・マストロナーディ氏がシェフを務めている。
まずはホタテを香ばしく焼いた一皿。アスパラガスを使ったなめらかなソースにトリュフが香りを添える。さらに、「日本人はロングパスタが好きだろ?」と、マストロナーディ氏は得意げに3種類のパスタを作ってくれた。イタリアから取り寄せたブカティーニは、自らスモークした豚のほほ肉とトマト、バジルのソースを合わせる。ほどよくスモークされたポークが美味。フジッリはらせん状にひねったパスタ。ラムのミンチと合わせ、鮮やかな赤と黄色のピーマンをのせた。パスタ独特の歯ざわりとラムの旨みが素朴な味を醸し出している。細長いタリオリーニには同じように細切りにしたドライトマトやズッキーニをアサリのソースで絡める。海と山の風味が融合した逸品で、彼のオリジナリティーが前面に出ている。「ピザは月曜日だけ。うちはピザッテリアじゃないからね」。当たり前のこだわりを聞いてなんだかうれしい。
明るく陽気なマストロナーディ氏と二人三脚で店を切り盛りしてきたヴィンセンティ氏。引っ切り無しに鳴る電話と格闘しながら、「この店が私の人生なのよ」と微笑む彼女がやさしく、たくましく見えた。
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