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役作りは6階までソファーを 運ぶくらい重労働なんだよ




あのぽちゃぽちゃとした顔と体、ぼさぼさの金髪髪、人なつっこい笑顔、ソフトで耳に心地良い声、全てがフィリップ・シーモア・ホフマンを想い出す時に、いまだにわたくしのそばに居るような気がします。

初めて会ったのは97年、トロント映画祭でのパーティーでした。既に「セント・オブ・ウーマン」(92)でクリス・オドネルに意地悪をするクラスメートや、「ツイスター」(96)で竜巻を追っかけるクルーのひとりなどを演じては、妙に目立っていたので、この時の「ブーギーナイツ」のポルノスター(マーク・ワールバーグ)に恋をする彼をまず画面で見て感心し、会場で見かけた時は長年の知り合いのような気楽なアプローチが出来たのです。彼の方も全く気取らず、「ハーイ!げんきー?」なんて言う対応で、ビールかワイン片手に、軽い会話を交わしました。

当時のフィリップは29歳、でもとびきり若く見え、後の会見でも映画に出るのが楽しくて、楽しくて、他のことなんかやってられないよなー!ってな態度で始終にこにこして、ゴムまりのようにぴょこぴょこ動いてました。

「僕が自分の馬鹿げた行動に絶望して、車の中で何と言う馬鹿なことをしてしまったんだ!と何度も繰り返すシーンをみんなが褒めてくれるけれど、それは取りも直さず、誰にでも経験がある、取り返しのつかない、恥ずかしくて口惜しい瞬間。僕はそう言う時を想い出して、出来る限り恥ずかしい部分を露出してみた」とフィリップは不必要な意識や不格好さを見せることに抵抗が無い自然体の演技力を照れながら話していました。

「何処から見ても僕はトム・クルーズやマット・デーモンのような主役が出来るタイプではないから、ある意味では楽だよね。だからこそぶざまな姿をさらし、モテない男の惨めさをとことん演じきることが出来るのだもの」。

次はロバート・デニーロが、脳溢血で倒れた警官、彼が、ホモ嫌いのデニーロを介抱する女装の司会者を演じた「フローレス」(99)の時。

「デニーロの前に行くだけでも相当の勇気が要ったね。おまけに初めての女装の男と言うきつい下着を着て、濃いメークをする役だ。しかしデニーロに励まされて凄く嬉しかった」。

そしてそのマット・デーモンと共演した「タレンテッド・ミスター・リプリー」ではリッチなプレイボーイの役をほんの少しの時間で、演じている役の背景をヴィヴィッドに見せる技巧を覗かせてました。

「このフレディーと言う男は僕が『セント・オブ・ウーマン』で演じた高校生の成長した姿だと考えて、何時もダンスをしているような気軽なスタンスを取る、しかし名門大を出た頭脳の持ち主として役作りをした」と言っているように、この映画でのフィリップは体の割に驚く程軽いステップを踏んでいます。後にマットは彼の重そうな死体を運ぶのに非常に苦労するのですが。

「僕のことを太目だとか、真っ白な肌でトウモロコシ色の髪の頭の悪そうな若者と形容するが、たまにはキュートだとか言われてみたい」と文句を言っている時もありましたが、

「僕は勉強を重んじている、演技の勉強をみっちり6年間もして、素晴らしい教師たちに巡り会えた。この凝縮した努力をした後、俳優になりたい欲望が激しく出て来た。演劇学校に行って、それでも欲望が薄れなければ、俳優になる意味があると思うね。僕にとって偉大な俳優と言うのは役の上のキャラクターを見せることで、僕個人を見せるのではない。多くのスターたちは成功するとキャラクターでなく、スターの本人を見せるだけで観客が満足すると想い始める。これは僕にとってはホラー映画に近い恐怖だね」と俳優としての真摯な姿勢を真面目に語っています。

「カポーテイ」(05)を演じた頃になると彼もベテランの風格と自信がついて、その代わり昔の甘さがなくなって来ました。



「僕は映画の合間に舞台の役を手がけるばかりでなく、劇団の制作もし、監督もして、ワーカホリックの気味があるが、演劇の生活に浸っているのは充実感の他の何ものでもない。僕がたまに上の空でファンに無愛想だとか言われるが、舞台の役作りとパーフォーマンスは6階までソファーを運ぶぐらいの精神的、肉体的疲労を持たらすのだよ。そのあたりを理解して欲しいね」。

正直に、困惑しながら弁解をするフィリップの表情が今も鮮やかによみがえって来ます。









Yoko Narita

東京出身。成蹊大学政経学部卒業。スポーツ記者として20数年前にLAへ。試写会とインタビューに大忙し。今の映画の特撮やカーチェイスにあまり関心がなく、往年のハリウッド映画を観てはタメ息をついている。ゴールデン・グローブ賞を選考するハリウッド外国人記者クラブメンバー。



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