アメリカの女性SF作家で「魔術的ストーリーテラー」コニー・ウィリスの傑作の短編5編。表題作以外の3編は、とにもかくにも抱腹絶倒なのだ。ただ一言、付け加えたい。テレビドラマの薄っぺらなどたばたコメディに馴らされてしまっていると、ウィリスの作品はちょっとしんどいかもしれない。読み手にもそれなりの体力を要求してくるのがウィリスの作品なのだ。
「スパイス・ポグロムSpice Pogrom」はラブコメの大傑作だ。アメリカで1930年代から40年代にかけて流行したロマンティック・コメディ・ハリウッドクラシック風の作品だが、中身は奇妙キテレツ。日本製宇宙コロニー?SONY?にエイリアンが大挙して押し寄せたため、NASAに勤務する婚約者から宇宙人の居候を押しつけられた主人公の愛の行方は…。
表題作は他とは一線を画す胸がつまる作品。混乱した状況や心理状態をテンポよくユーモラスに描写していく手腕もさることながら、「まさかの展開」となるストーリーはさすが。ネタバレになるので、これ以上は書かないが、ウィリスの失われたもの、失われていくものへの愛情がじわじわと伝わってくる作品だと思う。